正の温度係数(PTC)のヒーターは、EV の暖房システムに効率と安全性をもたらします。PTC 内の加熱エレメントは、プラスの温度係数を持ち、温度とともに抵抗が大きくなります。冷たい PTC 過熱エレメントに初めて電源が投入される際、抵抗が低く大量の電流を消費します。加熱すると、抵抗が増し、消費電流が減少します。これで、PTC ヒーターは本質的に安全かつ効率的になります。PTC ヒーターが過熱すると電流が流れなくなり、温度維持に必要な電流のみが流れます。PTC ヒーターが冷たい時に、最大電流を消費することから、従来のエレメントよりも速く加熱します。
EVでは、PTC ヒーターは、ヒーターに供給する電力を最大化するために、高電圧バッテリーで動作します。IGBT またはその他の高電流電力デバイスは、ヒーターのオンとオフを行うために使用し、同時に、電圧センサーや電流センサーは入力電圧と電流消費を監視します。MCU は、ヒーターを管理し、車両のその他のシステムと通信するために使用します。以下の図は、MCU が低電圧ドメインにある PTC ヒーターの構成を示しています。MCU が PTC の監視と制御をできるようにするには、絶縁が不可欠です。Si828x のような絶縁型 IGBT ゲート・ドライバ、Si823x や Si826x のような FET ドライバは、主電源デバイスを安全に駆動します。電圧測定と電流測定は、Si892x のような絶縁型測定デバイスを使用して行われます。このシステム全体は、Si88xx などの統合型 DC-DC パワーコンバータを使った Si86xx やデジタル・アイソレータなど、デジタル・アイソレータで分離された CAN や LIN などの車載用バスを介して監視や制御をすることができます。