システムの概要
Kanepi システムは、大型倉庫または製造型構成の工業用照明制御向けに Twisthink が開発したものです。一般的にこうした類の施設には、スイッチ、コンタクタ、またはサーキット・ブレーカによりバンクで制御する器具で天井照明が 25〜40 フィートごとに並べて備え付けられていました。照明器具による段階式調光が可能なワイヤレス・コントロールにより、エネルギー利用を最適化でき、占有センサーと昼光ハーベスティング・センサーからの光を分離することができます。各照明器具には ZigBee デバイスが含まれています。すべてのデータ・レポートは、中央コンセントレータに送られます。組み込み Linux を実行する EPIC 単一基板コンピュータに実装されている中央コントローラを使用してシステムを制御します。タッチ・スクリーンまたはワイヤレス照明スイッチを使用して、手動で施設内に追加の光を取り込むこともできます。これらのスイッチからのトラフィックも、ゲートウェイを介してルーティングされて処理されます。
ネットワークの説明
一般的なネットワークは 300〜1200 の照明器具から成っています。すべての照明器具は、組み込み Linux 搭載の EPIC シングルボード・コンピュータに接続された ZigBee デバイスです。EPIC コンピュータは、Digi Corporation の XTEND 製品を使用して追加の ZigBee ベースのコーディネータを利用することもできます。
- ネットワーク内のデバイスへのゲートウェイからの一般的なデータフローは、スケジュール、センサー、およびオペレータの操作に基づいて断続的となります。すべてのルーティングは、ゲートウェイへの「Many-to-One」ルーティングを使用して行われ、ゲートウェイからネットワーク内のデバイスへ同時通信されます。
- ゲートウェイにより1日中「Many-to-One」ルーティングが更新されます。
- 照明が占有センサーからトリガされた場合のシステム上の通常の待ち時間は1秒未満です。標準セキュリティがセキュリティセンターのリンクキーで使用されています。
- このシステムは Silicon Labs ZigBee ソフトウェアで動作します。現場においては、システム耐用期間内に OTA ブートローダを使用してホスト・ソフトウェアのアップグレードが行われています。
下の写真は、制御画面ビューから見た一般的なシステムを示したものです。
ネットワーク環境
工業用・商業用施設で動作するシステムにはまた、一般的な WiFi ネットワークが含まれています。建築物は通常金属フレームと金属の屋根で構造されていますが、いくらかの内壁があります。ZigBee 無線が照明器具の一部としてインストールされます。照明器具の設計寿命は 15〜20 年です。
ネットワークの信頼性
800+ 照明制御モジュールのテスト・ネットワークでは、照明コマンドが1日当たり約30回送信されます。ネットワーク内で、35の固有グループが特定され、各グループには 5〜20 の照明が含まれています。このネットワークは、スケジュール(決められた時刻でトリガ)イベント、反応(センサのトリガ)イベント、手動(オペレータによるトリガ)イベントの組み合わせを使用して制御されます。一般的に各イベントがいくつかのグループを制御することになります。各照明コマンドの後、各照明が適切な状態で変更されたかどうかをゲートウェイが確認します。プロセス内に何らかの障害があった場合は、ログ記録と調査のためのアラートが生成されます。平均的に、ネットワークは1日当たり約3000の照明コマンドを処理します。ネットワークは2007年12月以来に実行されています。この記事の記述時点では、ログに記録された 1,000,000 以上のメッセージにおいて、システムの PHY/ZigBee 層に起因する通信障害は1つも見つかっていません。
結論および概要
このデータは、商業環境における分散 ZigBee ネットワークに期待される信頼性を示すものです。この特定の環境は多くの ZigBee 商業使用にとって典型的なもので、期待される動作の良い指標となります。これらのネットワークでは経時的なメッセージの損失はほとんど発生しておらず、これはこのシステムが堅牢かつ高信頼性であることを示すものです。
ZigBee ワイヤレス・デバイスは、現場でのデプロイにおいて様々な異なるネットワークに実装されています。これらのネットワークは、異なるトポロジ、異なる数、デバイス密度、および異なるトラフィック・パターンを利用しています。しかし、それぞれが分析可能で、ネットワークの信頼性および堅牢性における貴重なデータが提供されます。Silicon Labs は今後も、他のお客様のための情報基盤として、顧客ネットワークを文書化してこれらのケース・スタディを公開していきます。このケース・スタディは、ZigBee システムを設計されている Silicon Labs のお客様および現場における経験と信頼性にご興味をお持ちのお客様のためのものです。ZigBee 対応製品の新しいアプリケーションを開発されているシステム・アーキテクトおよびソフトウェア・エンジニアの方々を特に対象としています。