次世代IoT:Arduino と Silicon Labs が Edge AI と ML でアクセスが容易に
パートナーシップからイノベーションへ:Arduino と Silicon Labs が提携
1月2024日、Arduino と Silicon Labs は、Matter プロトコルへのアクセスを2段階で簡素化するためのパートナーシップを発表しました。第1段階では、Silicon Labs マイクロコントローラのコアと共に、Matter 用の広範な Arduino ライブラリがリリースされました。第2段階では、Silicon Labs MGM240Sをベースにした Nano Matter 基板の形で、ArduinoのNano ファミリーに新製品が追加されました。
このパートナーシップの成果は、Arduinoのインターフェイスのユーザーフレンドリーな機能を、Matter プロトコルの分野で Silicon Labs の堅牢なRFチェーンと技術的能力に組み込むことで、最終的には、IoT アプリケーションにおける、さらなるイノベーションの推進が期待されます。
Silicon LabsのGlobal VPであるRob Shane氏は、以下のように述べています。「Arduino とのこの取り組みは、IoT 分野でAIが発揮する変革力を示しています。Silicon Labs の最先端のAI/MLハードウェアアクセラレータを搭載したMCU と、Arduinoの直感的なプラットフォームを組み合わせることで、開発者は、ローカルでリアルタイムの計算を実行できる、スマートでエネルギー効率の高いデバイスを構築できます。このパートナーシップは、リアルタイム機械学習を利用して自動化を促進し、エネルギー効率を最適化し、適応型応答を提供する革新的なアプリケーションの創出を推進しています。」
Matter、Edge AI、MLでArduinoエコシステムを拡大する
Arduinoは、アプリケーションのプロトタイプを迅速に作成したい開発者にとって、信頼性のある選択肢の一つとして実績があります。Arduinoは、基板、シールド、キャリア、キットなどの複数のカテゴリで100以上のハードウェアおよびソフトウェア製品、および学生から熟練した専門家まで、あらゆるレベルのユーザーをサポートする統合開発環境(IDE)を提供することで、IoTアプリケーション開発に最適なプラットフォームとしての地位を確立しています。さらに、Arduinoのユーザーコミュニティで容易に入手できるレファレンスと、汎用性の高いエンドユーザー用アプリケーションを作成する手頃なコストを組み合わせることで、多種多様な環境で柔軟かつスケーラブルに活用できるものになっています。
Arduino Nano MatterはMatter プロトコルを採用することで、AI駆動の高度なインテリジェンスとシームレスな相互運用性を組み合わせています。リアルタイム機械学習は、自動化を強化し、エネルギー効率を最適化し、環境条件に適応した応答を可能にします。Apple、Google、Amazonなどの主要なエコシステムと互換性があり、その統合により、接続されたデバイスの信頼性が高く、効率的でインテリジェントな制御が保証され、スマートホーム技術の未来がすべての人にとってよりアクセスしやすくなります。
ML AcceleratorでEdgeのAIを解き放つ
IoT の用語で「エッジコンピューティング」 とは、データを集中化されたクラウドベースのサーバーに保存または転送することなく、エッジデバイスでローカルに計算を実行することを指します。この運用方法により、電力を節約し、他の重要な運用のためにネットワーク帯域幅を解放できます。また、全体的な開発コストを削減しながら、信号の遅延を最小限に抑えることができます。この計算は、センサーノードなどのデータが生成される場所に益々近づいています。これを「tiny edge(小さなエッジ)」と呼びます。
Silicon Labs のAI/ML SoC - EFR32.. xG24、xG26、および xG28 ファミリ - は、この Edge 処理を利用して動作を高速化し、パフォーマンスを改善します。内蔵された Matrix Vector Processor (MVP) は、MCUコアと比較してML推論の速度を最大8倍高速化し、消費電力を6分の1に抑えます。Tensor Flow や Silicon Labs の Simplicity Studio などの開発ツールのスイートと、広範なパートナーのエコシステムが提供するソリューションにより、開発者は迅速な開発とプロトタイピングを可能にする完全で柔軟なMLエコシステムを手に入れることができ、最終製品の市場投入までの時間が短縮されます。
オースティンでArduino Nano Matter「Magic Wand」のデモを体験
オースティンで開催されるEdge AI Foundation のイベント(2 月25日~ 27日)で、Silicon Labs と Arduino が共同でデモを行い、このパートナーシップがスマートホームアプリケーション向けの次世代デバイスの開発をどのように支援するかを紹介します。具体的には、来場者は動作認識に基づいた直感的なソリューションを体験できます。ユーザーが空中に「W」を描くだけで点灯し、「O」を描くと消灯する、「魔法の杖」のような直感的なデバイスです。
ArduinoのCEOであるFabio Violante氏は、以下のように述べています。「Silicon Labs とのコラボレーションは、強力でアクセスしやすい技術を開発者に提供することを目的としています。今回の「魔法の杖」のデモは、そのビジョンが実現された格好の例です。それは、Nano Matter基板でMatter、Edge AI、TinyMLを組み合わせることで、 IoT アプリケーションがいかに直感的でインテリジェントになり得るかを示すものです。ここでは、シンプルな手のジェスチャーを、シームレスなスマートホーム操作へと変換させています。これは、イノベーションとアクセシビリティが融合することで生まれる可能性のほんの始まりに過ぎません。」
このデモは、Arduino Nano Matterを基盤とし、キャリアを介してArduino Modulino Movementノードに接続されており、ノードには6軸加速度計とジャイロスコープを搭載されています。Arduino Nano Matterには高性能なSilicon LabsのMGM240Sマイクロコントローラーが搭載されており、Thread上でMatterを実行し、TensorFlow Liteを活用したTinyMLジェスチャー認識ライブラリを動作させます。
デモを試して実際にご覧になるには、オースティンで2月25日~27日にSilicon Labs ブースまでお越しください。オースティンで開催されるEdge AI Foundationイベントの詳細はこちら。